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U-TURN

「好きなこと」と「仕事」のWワーク。 流れに乗ったからこそ、今がある。

職業
セラピスト
Uターンルート
滋賀→沖縄→滋賀
お名前
八田陽子さん
URL
月と星と太陽と&ハチヨコ製菓



移住先で得た知識や経験。それらは、滋賀県にUターンした後の人生も彩ってくれます。

今回お話をお伺いしたのは、滋賀から沖縄に移住。そして滋賀県にUターンされた八田陽子さん。現在、自家製酵母を使った焼き菓子や菜食の仕出し弁当をつくり、バッチフラワーレメディを使ったセラピーを行う一方、一般事務に従事しておられます。

移住も、Uターンも、タイミング!

沖縄に行ったきっかけや、なぜ滋賀県に帰ってきたのか?開業するために必要なこととは?など、今までの経緯とUターンを考えている方へのアドバイスをお伺いしてきました。

滋賀県から沖縄県へ。旅行感覚で暮らす予定が、マネジメントに!



滋賀県大津市出身の八田陽子さん。20代のころは、何がしたいかわからない日々が続く毎日。とあるきっかけから着物に興味を持ち、着付けを習い始めました。ブライダルの貸衣装屋さんの仕事と出会い、入社したのは20代後半のこと。

お金を稼ぎながら技術が身につけられることにも惹かれ、ゆくゆくはどこででも着付けができる人になりたいと考えていたものの、教室の着付けとビジネスの着付けは別物。さらに、働いていた会社が事業を終了することを告げられます。

当時沖縄にハマり、年に2〜3回は訪れていた八田さん。滋賀県を出て、沖縄で旅行している感覚のまま楽しく暮らしたいと、29歳で沖縄本島に移住しました。

気になるのは、移住先での仕事です。どうやって仕事を見つけたのでしょうか?

そのとき、家族が家庭菜園で無農薬栽培をするための資材を沖縄から取り寄せていました。資材を研究している会社がホテルを開業することを知り、知人を通して履歴書を渡していただいたんです。期待半分でしたが、忘れていた頃に連絡がきました。

それが、ちょうど年末、私が沖縄旅行に行く前日のことです。現地で面接を受け、年明けには「あなたが良かったら来ませんか?条件はFAXで送ります」と採用の連絡をいただきました。



ブライダルからホテルへの転身というだけでも驚きですが、実際に八田さんが任されることになったのは、半年後にオープンする温浴施設の立ち上げの仕事でした。全く未経験の世界に戸惑う日々。

そんなある日、当時はまだスパという名称の知名度が低いこともあり、上司から「温浴施設にスパの名前を使っていいかどうかを調べて欲しい」と言われます。ここで役立ったのが検索スキル。スパの定義を調べ必要な書類を提出したことで、八田さんの株は急上昇!結果、エステ事業のマネジメントまで上り詰めることになりました。

ただ、全くの素人が経営に関わるわけですから、たくさん悔しい思いもしました。そこで思ったのは、きちんと勉強したいということ。それから、その時に「いつか私は自分で何かをする人だ」と、漠然と思ったことも覚えています。何の根拠もないのに(笑)

1年後に退職し、職業訓練校に通って簿記の資格を取得。転職先の会社では、経理の仕事に就き、プライベートではしっかり沖縄を満喫しました。



沖縄暮らしを満喫していた八田さんですが、4年後、滋賀県に帰ることを決意します。大きな理由があったわけではありませんが、あえて言葉にするのであれば「満たされた」という感覚が近いのではないでしょうか。

沖縄は一年中あたたかく、雪が降ることはありません。スタッドレスタイヤも不要で、花粉に悩むこともありません。しかし、八田さんにとっては、四季や季節のうつろいを感じることは大切なことだったのです。


Uターン後、サロンを開業。半年後、Wワークを開始。



沖縄に暮らしている間に、バッチフラワーレメディによるセラピーに関心を持ち、資格を取得。既に滋賀県に帰ったら自宅でサロンをやりたいとの思いが湧き上がっていました。

イギリス生まれのバッチフラワーレメディとは、心や感情に作用するお花のエッセンスのこと。飲むことで心や感情の高ぶりを穏やかにしてくれるとされています。

八田さんは自分用のキットを持っていました。さらに出張も可能で、必要な道具は机とイスだけ。自宅は古くからの在所のため、お座敷があり、家族にお願いして一角を借りることに。つまり、初期費用はほぼかかっていません。動き出したのは、Uターンから半年後のことです。



沖縄の友達に相談したら「営業しているかどうかは別として、やっていることを言って、後から実体をつくっていけばいいじゃん」と言われました。それでいいんだ!と、「開業届」と「所得税の青色申告承認申請書」を税務署に届け出たことが、個人事業主としての始まりです。


ショップカードを自家製で作り、滋賀の素敵なお店を検索。実際に足を運び、知り合ってから、ショップカードを置かせてもらうようにしたことで、じわじわとお客様が増えていきます。カードを置いた次の日に電話がかかってきたことも。

さらにオープン当初は空いている時間がたくさんあったため、近くの会社で経理の経験を活かして働くことに。サロンオープンから半年後、Wワークの始まりです。融通のきく働き方ができるため、大変感謝しているとのことでした。


沖縄時代から関心が高かった「食」の分野へ


数年前から、知人のアトリエを借りさせてもらう形で飲食のお仕事を始めた八田さん。きっかけは沖縄に移住して出会ったベジタリアンのお店でした。住んでいたアパートの近くにも、ヴィーガン(ベジタリアンの中でも厳格で、動物性タンパク質を一切とらない)レストランがあり、3年間お世話になった経理の職場から車で10分の範囲にも、ベジタリアンのお店がありました。

食べ物に関心を持ち、ヴィーガンレストランの料理教室に通うことに。野菜炒めから肉を抜く料理ではなく、野菜だけで料理を完結させる面白さに目覚めます。その思いや探究心は、滋賀に帰ってからも尽きることはありません。

自家製酵母をおこしてお菓子をつくり始めたら、どんどん楽しくなってきました。バッチフラワーレメディもお菓子に入れちゃえばいいんじゃない?と思ったのもこの頃。セラピーとしては、カウンセリングをして必要な物を選んでブレンドするのが仕事。でも、抵抗なく口に入れてもらいたいとの思いがあり、始めてみたところ、結構好評です。


沖縄時代の経験や知識を活かし、滋賀で新しいことにチャレンジを続ける八田さん。これからやってみたいことについて、お尋ねしました。

たくさんあります!ただ、滋賀県には色々な魅力があるのに、ちょっと控えめで奥ゆかしいところが好きだという思いもあり…。私自身、滋賀県特有のことをしていきたいけれど、そんなにメジャーになって欲しくないという、そんな複雑な乙女心が見え隠れするようなことをやっていきたいです(笑)



八田さんのお住まいは大津市の西側、びわ湖までは歩いて10分の距離。子どもの頃は、自転車で坂を下り、びわ湖で遊んでいたことも。滋賀県にUターンして改めて感じることは、びわ湖の魅力。特にびわ湖からのぼる朝日は、本当に美しい。少し北に向かうと比良山が見えて、振り向けば比叡山がある。昔の人々が愛していた近江八景も含め、後世に残していきたいと、壮大な夢もそっと教えてくださいました。


滋賀県にUターン後、「好き」と「仕事」を両立させたい人に伝えておきたいこと



最後に、八田さんに「好き」と「仕事」を両立させたい人に伝えたいメッセージをお聞きしました。

私自身、掴みたいものが目の前に来たら、頑張りすぎてしまう、力が入りすぎてしまうという反省点も踏まえての言葉ですが、流れに乗ることが大切かなと思います。

チャンスを掴むことができたら、やりたいことは実現できます。

私自身、滋賀県から沖縄に移住したときは、本当に流れに乗っていたなと。もし、行っていなかったら今どうなっているかはわかりませんが、流れに乗ったからこそ、今があるのだと思います。




取材を終えての感想

ハチヨコさんと出会ったのは、私がUターンして滋賀に戻ってきた年の12月です。今回お話をお伺いして、複数の仕事(お金を稼ぐ手段)を持っておくことは、きっとこれからの未来に役立つ大切なスキルだと感じました。それから、理屈や理論だけではなく、流れに乗る「感覚」を大切にしたいという考え方も、とても共感できる部分です。

取材場所:sumi(Instagram)

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