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U-TURN

海外の雰囲気を滋賀へ。 やると決めたら行動に移す原動力が成功の秘訣。

職業
カフェオーナー
Uターンルート
滋賀→東京→滋賀
お名前
森下直哉さん
URL
THE HIDEAWAY FACTORY



滋賀県栗東市に位置する関西最大級の倉庫restaurant&café 「THE HIDEAWAY FACTORY」。150坪のレストランの内装は、デザインを含め全てDIY。オープン前から注目を集めており、2018年5月現在のインスタフォロワー数は6,600人を超えています。

今回お話をお伺いしたのは、THE HIDEAWAY FACTORY オーナーの森下直哉さん。

飲食店を始めようと思ったきっかけとは?なぜ滋賀県に帰ってきたのか?開業するために必要なこととは?など、今までの経緯とUターンを考えている方へのアドバイスをお伺いしてきました。

30歳までに滋賀県にオシャレな店を出す。目標を定め、東京へ。




滋賀県内にある高校を卒業後、大阪の大学に進学。現場仕事をしながら、カフェ巡りにハマっていた森下さん。東京へ行くことを決めたのは、実は友達の一言でした。


当時、京都のカフェばかり行っていたので「オシャレなお店を滋賀に出してよ」と言われ「じゃあ、出すわ」と。即決してすぐに東京に行きました。21、22歳のころですね。30までには滋賀で店を出すと決めていたので、周りにも独立の意思は伝えていました。7〜8年正社員として働き滋賀に戻り、開店準備を始めて、今に至ります。



THE HIDEAWAY FACTORYは、今までの滋賀県にないタイプのお店です。どういった流れで、コンセプトが決まったのでしょうか?


飲食の勉強でニューヨークのブルックリン付近に行き、4〜5日で70店舗くらい回ったんです。先輩が「飲みに行くぞ」と声をかけてくださり、連れて行って貰った先は、小さなハンガーガー屋さん。どこで飲むのだろうと思っていたら、奥に隠し扉があり、パスポートを見せるとその中に入れてもらえるシステム。中は、想像以上に広いバー。そして満席。感銘を受けました。

このコンセプトで、日本でやりたい。そう思い、アメリカの禁酒法時代から続いているお店を調べ、片っ端から回りました。

それから、よく言われるこのキャパも、個人事業主として大手さんに勝つために何ができるのかを考えた結果です。サービスや美味しさも大切ですが、それらは目に見えない部分。いくら一番だと言っても伝わりにくく、下手をすれば自己満足になってしまいます。それなら、広さで勝負しようと。関西の中でも広い、滋賀県では一番広いレストランをつくろうと思いました。



一般的な飲食店の場合、駅の近さなどの立地条件が重視される傾向にあります。しかし、THE HIDEAWAY FACTORYの場合、駅からのアクセスは決して良いとは言えません。

禁酒法時代のバーをモチーフにしているので、あえて駅前や国道沿いを避けました。店名も「隠れ家倉庫」という意味。隠れ家で売っているので、お店の名前も覚えてもらいたくないと思い、わざとTHE HIDEAWAY FACTORYと、長ったらしい店名にしました。「あの倉庫の店行こう」と言ってもらえればいいかなと。



一般的な飲食店のセオリーから外れた立ち位置ながら、自分が面白いと感じる感覚を重視し、チャレンジを行った森下さん。さらに、もうひとつ気になる部分がありました。それは150坪の特徴的な店内が全てDIYであること。業者を入れず、自分たちで作業したことにも、何か大きな意味がありそうです。

東京で働いていたときにも、店舗立ち上げを経験していました。ただ、イメージを上手く伝えるのはとても難しい。作って貰ったけれどイメージが違うので、作り直してほしいというのは気を使います。

それから、コンセプトが古い倉庫ということもあり、アメリカ人特有の粗雑さもあえて入れたいと思っていました。あえて床やテーブルにも隙間を作っています。ただ、おそらくプロの職人さんからすると「隙間は・・・」となるでしょう。価値観を擦り合わせるよりも、自分たちでやったほうが早いと思い、DIYに踏み切りました。昼夜問わず、作業を進め、3ヶ月半ほどで完成しましたね。

そのDIYの時も東京から2人引っ張ってきて3人で工事したのですが、本当に助かりました笑




オープンから数ヶ月経った今も、連日満席。主な広告はインスタグラムのみというから驚きです。企業様用・団体様貸切り用にぐるなびにも登録したそうですが、人が人を呼ぶ仕組みが継続しています。滋賀県内はもちろんのこと、京都や和歌山から車で訪れる人も多いとのこと。森下さんのマネージング力に脱帽です。



滋賀県にUターンした今、改めて感じるのは、オシャレなお店が増えたということ。住んでいた当時は、滋賀県にはチェーン店が多い印象で、正直京都にばかり行っていました。ただ、今は、インスタでも琵琶湖の見えるカフェなども増えてきて、盛り上がってきていると感じます。



やりたいと思ったら、自分の経験と相談。予想を超えた先にある感動を提供することが、人を呼ぶ。


中学・高校時代から、考えるよりも行動していたという森下さん。実際、地元の経営者の先輩には「この立地でこのキャパで飲食やるのはやめておけ」と言われたことがあるそう。しかし、やめろと言われた分、逆に燃えたといいます。

結果を出している現在、これから先、どういった仕事がしたいといった目標はあるのでしょうか。



自分が楽しめる仕事をすること。他の人から見ても魅力があり、なおかつ自分が楽しめる仕事。お金儲け、ビジネスという部分には、あまり意欲はないかもしれません。今も、日本や飲食といったカテゴリにとらわれず、新しい仕事を増やしていきたいなと思っています。

ただ、先のことはあまり考えていません。「先のことを決めてから行動しろ」と言われますが、やりたいことを計画的に考えるタイプではありませんね。やりたいと思ったら、やるという感じ。やらないとわからないし、それは自分の経験と相談です。やりたいと思う中で、無理やなって思うことももちろんあります。THE HIDEAWAY FACTORYに関しては、上手くいくイメージがあったので。

基本的に弊社のコンセプトは、予想を超えるということ。レストランの味、サービス、全て予想を超えた先には感動がある。感想を人に広げたくなる。だから予想を超える内観外観を目指し、実行しました。



滋賀県にUターン後、飲食店を始めたい人に伝えておきたいこと


最後に、森下さんに飲食店開業を目指す方に対して、伝えたいメッセージをお聞きしました。

人の相談に乗ることもありますが、私自身はあまり悩まずに来たので「やりたいことがあるなら、やればいい」としか言えません。アドバイスでも何でもないですね。

もちろん人に聞くことでリスクを減らすことはできるかもしれませんが、私は逆に人に聞くことをやめました。聞いて否定的なことしか言われなければ、不安になってしまいます。それならば自分の熱量が冷めないうちにやってしまったほうがいい。

人生一度きり、これは本当に実感しています。



取材を終えての感想


一番印象に残っているのは「やりたいことがあるなら、やればいい」という一言でした。Uターンだけに限ったことではありませんが、どれだけ計画を立てたとしても想定外の出来事は起きるもの。そのときに乗り越えられるかどうかは、森下さんが言われた「自分の熱量」にかかっているような気がします。

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