SHIGA
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Cafe
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U-TURN

人が集まる場づくりを求めてUターン。 自分が楽しい気持ちでやることが一番大事。

職業
カフェオーナー
Uターンルート
滋賀→大阪→滋賀
お名前
山本依味さん
URL
向町 cafe



2016年7月に、滋賀県日野町にオープンした「向町カフェ」。自家栽培の野菜や、母方の家族がつくるお米など、地元・日野町の食材が食べられるお店です。

今回お話をお伺いしたのは、向町カフェオーナーの山本依味さん。

飲食店を始めようと思ったきっかけとは?なぜ滋賀県に帰ってきたのか?開業するために必要なこととは?など、今までの経緯とUターンを考えている方へのアドバイスをお伺いしてきました。

栄養士から旅を楽しむフリーターへ。空間づくりの楽しさに目覚め、Uターン。


滋賀県日野町出身の山本さん。食べること、つくることが好きな子ども時代を経て、滋賀県を出たいと大阪の大学へ進学しました。大学では栄養士の免許と小学校で働くことができる栄養教諭の免許を取得。卒業後は、小学校で栄養士として4年半勤務しています。



その後、お金も少し貯まったので、旅行がしたいなと思い、退職してフリーターになりました。友達がオーストラリアに行っていたので、私も3週間くらい滞在したり、屋久島にも行ったり。富士山が噴火するという噂もあったので「噴火したら困るから行こう!」と、友達と富士山にも登りました。


フリーターを続けながら、旅をして働く。また旅をするという働き方を選んだ山本さん。ひとつの転機が訪れたのは、作品を作る友達が展示販売のイベントを開催したときのこと。山本さんはカフェブースにてカフェを担当し、空間づくりの楽しさに目覚めたそう。2013年から始まったイベントを機に、山本さんはUターンに向けて動き出しました。

Uターンのきっかけは、人が集まる場所をつくりたいと思ったことです。ただ、私一人では絶対にできません。どこでやるかと思ったときに、浮かんだのは家族や友達がいる地元。家族を通して、現在向町カフェとして借りている物件の存在を知りました。友達の家でもあったので、親同士が話をしてくれて、タイミングと流れがちょうどいいなと。

実は、最初はご飯を出したいと思っていませんでした。みんなが集まれる場所をつくりたいとの思いだけ。でも、経営するためには、売り上げも大事です。自分にできることは何かと考えたときに浮かんだのは、今までやって来た料理の勉強。これを活かして料理を提供しようと思いました。



さらに、こだわりの部分についても尋ねてみました。

一番こだわった部分は、カウンターです。大阪にいたとき、バーが好きで1人でよく行っていました。知らない人と年齢性別関係なく喋る空間が好きで。こんな風に出会いとか繋がりが広がる場所を日野でもつくりたいなと。

喋りやすい雰囲気のカウンターと高さのある椅子にはこだわりました。私の友達や近所のおじさんも来てくれて、たまたま出会ったら喋る、そんな色々なコミュニケーションを育んでくれていると思います。


初めての飲食店運営。楽しい?辛い?一人でお店はまわせる?


イベントでのカフェ経営はあったものの、店舗での運営は初めてだったという山本さん。お金の面の不安はあるものの、実家暮らしという利点を活かし、借金を返済中。メニューは、栄養士時代の給食メニューを参考にしたり、料理上手な母親のレシピを使ったりと、ここでも過去の経験が活きています。

仕事をする上で、楽しいこと、辛いこと、そしてスタッフを雇わずに一人でお店をまわしている現状についてお伺いしました。


正直、毎日楽しいですね。そもそも、選択するときに「楽しい」「嬉しい」という方を選んでいるので、自分の思い通りにできているので、楽しくないはずがないなと。辛いと感じることは特に思い浮かびません。お客様が来なくてひとりぼっちだと寂しいなと思いますが、辛いというわけではないですね。

ただお店は、まわせていないと思います。多分、お客様にご迷惑をかけています。待ってもらうことも多く、私のペースになっているので、その部分をどうかなと思うこともありますが、この空間を感じてもらいながら、のんびり待ってもらえれば。その部分も楽しんでもらえれば、と。わがままですが、そう思っています。


飲食店を始めたことで、新たな繋がりの場が誕生


大学進学のため県外に出る前に見えていた滋賀県や日野町は「何もない場所」。それでは、Uターン後の滋賀県や日野町は、山本さんにとって、どう見えているのでしょうか?

お店もちょっとずつ増えているので、これからが楽しみです。それから、私自身も向町カフェを始めたからこその繋がりも増えています。新しくできた仲間は、全てお店がきっかけ。

日野町で開催されている「ひのまるマルシェ」の主催者の方も、最初お客様として来られた人。企画段階から教えていただいて、その繋がりから毎回参加しています。



Uターンしたことで、人の繋がりの大切さをさらに実感した山本さん。ちなみに大阪時代に友達と行っていたイベントの7回目は、向町カフェで開催したそうです。これからは庭を充実させて、小さなマルシェをやってみたいと次の抱負を語ってくださいました。

滋賀県にUターン後、飲食店を始めたい人に伝えておきたいこと


最後に、山本さんに飲食店開業を目指す方に対して伝えたいメッセージをお聞きしました。


日野町に戻ってきて、私が飲食店を始めるにあたり利用したのは「商工会セミナー」です。経営の覚書を書いたり、お金を借りる際に銀行に持っていく書類を作ったりと、すごくためになりました。ただ、セミナーでは「宣伝にお金をかけなさい」と言われましたが、私はSNSで発信しているだけなので、実質0円です。お金をかけないやり方もあると思います。

あとは、自分が楽しいと感じることをやればいいのではないでしょうか。そうすることで、きっと周りに楽しい人が集まってくると思います!



取材を終えての感想

栄養士の仕事、友達とのイベント開催、家族や友人がいる地元での飲食店開業と、とても綺麗な流れになっていると感じました。また、何かを選択する際にはメリットや条件よりも「楽しい」「嬉しい」という自分の感覚を大切にすることが大切。その結果得られるものは想像以上に大きいようです。ランチ、近々食べに行きます!(笑)

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